ブランドを立ち上げてから、もうすぐ1年半。ANONYMは、プロダクトを通じてどれだけの「時間」を届けてこられたでしょうか。
「なんでもない日常にも、特別な一瞬が必ずひそんでいる。それに目を向けるきっかけをつくりたい」。そんな想いからスタートしたANONYMの最初のプロダクトは、4種類のブレンドで1日の流れを表現したコーヒーでした。
なぜ、コーヒー? なぜ「時間」?
ブランドディレクターのMayoが、その背景を改めて語ります。
コーヒーの持つ「時間をつくる力」に着目
—— ANONYMというブランドを立ち上げるにあたり、最初のプロダクトとしてコーヒーを選んだ理由を教えてください。
ANONYMは、「日々を彩るアイテムやクリエイティブな生活のアイデア」を届けるブランドです。その第一歩としてどんなプロダクトがふさわしいかを考えているとき、「時間」というテーマが浮かびました。
日常の中で、私たちは常に、時間とともに生きています。朝の目覚めの一杯、昼下がりの休息の一杯、もう一息がんばりたい夕方の一杯。コーヒーはただの飲み物ではなく、そうした時間に寄り添い、意識させてくれる存在です。
さらに、コーヒーをきっかけにして新たな時間が生まれることもあります。この場合の「時間」とは「場」や「空気感」と言い換えられるかもしれません。
私たちのブランドチームはデザインやライティングを本業とするメンバーから成りますが、「とりあえず、コーヒー飲む?」の一言から始めた雑談で、すばらしいアイデアが生まれることが何度もありました。また、少し言い出しにくい悩みも、カフェでコーヒーを飲みながらであれば、素直に話せたりする。
このようにコーヒーが持つ「時間をつくる力」に着目し、ANONYMの最初のプロダクトに選びました。日々のささやかな瞬間に、特別な意味をもたらすようなものを作りたかったんです。
「時刻」をテーマに、普通とは逆のブレンド設計
—— 具体的に、どのように時間とコーヒーを結びつけたのですか?
もともと「DRIP DROP DIARY」というシリーズ名で発売したコーヒーラインでは、朝・昼・午後・夜、それぞれの時間帯における具体的な「時刻」をテーマに4種類のオリジナルブレンドを展開し、時間の流れとともに味わいが変化するデザインになっています。
その後、ハーブティーラインの追加に伴い、「TOKI coffee & tea」というシリーズ名に変更しました。「TOKI」は「時」や「刻」を意味します。よりコンセプトを明確に表現する名前として、新しいラインナップとともに生まれ変わりました。
—— 「時刻」はとてもユニークなコンセプトですね。ブレンドの開発プロセスを教えてください。
特徴的なのは、朝から夜に進むにつれてローストを深くしている点です。これは、それぞれの時間に漂う「空の色」と「空気の香り」をコーヒーで表現するためです。
また、私自身がこれまでに感じたことのある、過去に実在した一瞬の感覚を、ブレンドで再現したいと考えました。ブレンド名に付いている時刻が、やたらと細かいのはそのためです。
一般的にコーヒーの開発は、豆の選定や焙煎から始まることが多いのですが、「TOKI」シリーズでは最初にコンセプトテキストとパッケージデザインを作り、そのイメージをもとにブレンドを設計するという、逆のアプローチを採用しました。
—— 夜のコーヒーはカフェイン控えめが主流ですが、あえてそうしなかった理由は?
そうですね、多くのブランドが夜のコーヒーとしてカフェイン控えめのものを提案していますが、ANONYMではあえてカフェイン入り、しかも深煎りで苦みの強いブレンドを選びました。
夜は、多くの人にとって創作の時間でもあります。静寂の中で集中力を高めたり、自分自身と向き合ったりするための時間を過ごす人も多い。そんな時間にふさわしい一杯として、深みのある味わいを意識しました。
また近年はあらゆるところで「健康志向」が強まっていますが、だからこそ私たちは、「夜にカフェインを摂ってもいいんだよ、一日のデザインは人それぞれだよ」と伝えたかった。カフェインレスにしなかったのは、そんな背景もありますね。
マーケティングのセオリーからすれば、夜のコーヒーはカフェインレスが正解なのかもしれません。でも、ANONYMが大切にしているのは、「毎日の過ごし方を一人ひとりがデザインできること」。
夜の静かな時間に、深みのあるコーヒーをゆっくり味わう。そんなひとときが新しいアイデアやインスピレーションにつながるかもしれない。だからこそ、ANONYMの「23:59 midnight mirage」は、あえてカフェイン入りの深煎りブレンドなんです。
一人ひとりが「今日一日の価値」を感じられるように
—— ANONYMの今後の展開について教えてください。
私たちはコーヒーを売りたいのではなく、毎日が特別だという事実に目を向けるきっかけを提供したいんです。例えば、「TOKI」シリーズのコーヒーを飲むことで、「あ、自分が過ごしてる今ってけっこういいかも」と思える瞬間が生まれたら、それがいちばん嬉しい。
ANONYMは「名もなき人の暮らしが未来をつくる」という理念を掲げています。これからも、一人ひとりが今日一日の価値を再発見できるようなアイテムを提案し続けたいと思います。
関連ページ
■TOKI coffee & tea の商品一覧:https://anonym.kyoto/collections/toki-coffee-tea
■TOKIアンソロジー|“とき”を味わう文学プロジェクト:https://anonym.kyoto/blogs/journal/toki-anthology